大企業でのサービス開発が、"マジカル伝言バトル"になっている気がする件

全てのサービス/製品には、当然言い出しっぺがいるわけです。で、言い出しっぺは、思いついた/考えついた重宝人ですから、どうすれば世の中に受け入れられるかを真剣に考えているわけですが、大企業が提供するサービス/商品というのは、一人(言い出しっぺ)のアイデアで実現されません。

英知を結集すれば、必ずプラスになるのか?

まず、何事もそうですが、多くの人の知恵を入れれば入れる程、良いかと言うとそうではありません。デカイ企業になると、必然的に多くの人が絡みますが、この"絡み方"がよくありません。どういう絡み方かと言うと、

"業務上、手続き的に絡む"パターン

サービスに詳しい前提知識を持っているわけでもなく、興味や思い入れがあるわけでもないけど、会社が決めた開発プロセスの過程で、何となく絡んでくる組織(集団)です。考え方によっては、フラットで客観的な目線が入ると言えるかもしれませんが、自分の経験上、この手の視点が入ると、だいぶロクな事になりません。

そのサービスは、一本筋の通ったストーリーになっているのか?

何故、ロクな事にならなくなるかと言うと、"サービスとしてのストーリーが崩れ始める"からです。そもそも大企業内で言い出しっぺが提唱したサービスは、実現の過程で、良くも悪くも色んな観点で揉まれます。この時の観点というのが、指摘する人自身の都合になっているケースが結構あります。良いサービスなのかよく分からんけど、前例無いし、何か指摘せな、仕事した感じにならんからそれっぽく色々指摘したろ、的な感じですかね。こういう事されると、大抵サービスとしての面白みが削られます。そもそも本質がサービス自体に目を向けた指摘じゃないですから当然ですよね。例えば、ラップ調の曲が、万人受けしないからといって、途中でPopミュージック調に変わったりすれば良いかというと、そうではないのと
同じで、ラップ調ならラップ調で通すのがストーリーとして適切かと。もう1つ同様の例を言いますと、その昔、マジカル頭脳パワーという番組がありましてね。その中で、マジカル伝言バトルというものがあったんです(30歳以上の人じゃないと知らないと思いますけど)。どういうもんかと言うと、先頭の人に絵に描くお題を伝えて、それを10秒ぐらい?でさっと絵に描いて、どんどん次の人に伝えていって、最後の人が、何の絵だったか?を当てる、というゲームなんですけど、これが結構難しいんですよね。途中で絵心が無い人がいると、途端に崩れますし、多くの人が絡めば絡むほど、些細な誤認識が積み重なる事で、元の絵から大きくかけ離れてしまう事が多いです。
大企業のサービスにも同じ事が言えるケースがあり、最後の出来上がりを見ると、結局、何かパッとしないもんが出来上がったな、というケースが後を絶ちません。それも、最近の開発は色々レイヤー構造というか、分業体制であるため、言い出しっぺ(企画?)が開発まで関与しません。というか正確には、伝言ゲーム式に関与はしているんですけど、それは間接的であって直接的ではありません。なのでマジカル伝言バトルみたいに最後に蓋を開けたら、思ってたんと違うという事も多いです。
私の主観ですけど、大企業が出すサービスのイケてなさは、"ストーリーは筋が通ってたけど純粋にイケてなかった"というケースよりも、"途中でストーリーが崩れた事で矛盾が生じ、結果イケてない感じになった"、というケースのほうが多いんではなかろうか、と思ってます。なので、仮に万が一自分が言い出しっぺでサービスを起案する事があれば、途中で何を言われようと自分で描いたストーリを崩さないようにしよう、と今から肝に銘じようと思います。